 |
すっかり風が秋色であるところの今日このごろ、グーバイク読者様におかれましては、ご機嫌のほど麗しかったりそうでなかったりすると思いますが、まあおおむね良好。当方、そう受け取らさせていただきます。
本年度の夏は大変大変もひとつオマケに大変暑うございました。犬はヘタれて庭駆けまわることもなく、猫はエアコンの前でだらしなくハラを見せてひっくりかえる。それほどの灼熱地獄であったワケでございます。そんななかでも一生懸命バイクをブンブンブーンと走りまわらせていた方々がいらっしゃったのです。
そう、真夏でバイクと言えば、それはもう鈴鹿八時間耐久ロードレースであります。八耐参戦ライダーのみな様は、路面温度50℃を超える猛暑のなかで誇りと名誉のほか、それはもうイロイロなモノをかけて戦ったのでございます。
私ですね、一人のバイク好き好き大好きっ子として、非常に感動いたしました。八耐を走り抜いたライダーのみならず、参戦したすべてのチームの方々、レース運営に携わった人々、そして八時間を見守った観客のみなさん。八耐にかかわるすべてのみなさんに拍手をお送りしたい。そう考えた次第です。もちろん、肌もあらわに人々を癒しまくったキャンギャルの女神ちゃんたちには強く感謝の意を表したいと考えています。
私めが内閣総理大臣職にあれば、八耐関係者の方々には即座に国民栄誉賞を差し上げますが、残念ながら内閣どころか政治の「せ」の字すらかかわりのない一市民にすぎません。なにか、八耐リスペクトを表現する方法はないのでしょうか?
そこで私、考えました。私、腐ってもバイク乗りの端くれ。ここはひとつ、八時間を走って八耐へのオマージュとさせていただこう。ただし八時間走るだけなら、郵便局やバイク便にお務めの方は日常的にこなしておられそうです。せっかくですので、なにか条件をつけましょう。
耐久レースとは決められた時間内で、いかに多くの距離を走るかという競技。私もソレに習いまして、時間は八時間。では、バイクは何を使うかというと、ここはスーパーカブ、それも50しかないと考えられます。
堅牢きわまるシンプルな構造と、類い稀な高燃費を誇り、世界最強の実用車とも噂されるカブ。まさに世界に誇れるジャパニーズモーターサイクルの誉れであるカブ50で八時間を走ってこそ、一般ライダーなりの八耐トリビュートが成せる。という発想は当然の帰結と申せましょう。まあ、ここまで言ってワカンねぇなら、アンタは裸の王様だぜ。
失礼、言葉遣いが乱れました。ご存知の通り、原付の制限速度は時速30キロ。単純計算すれば八時間で240キロの走行が可能なはずであります。さて一体どこまで、この数字に迫れるやら? |
| 耐久レースと言えば、スタートはやっぱりルマン式スタート。ライダーはコースを挟んでマシンと対峙、スタートと同時に駆け寄ってエンジン始動。そして発進。ちなみにホールショットを決めたのは、後方グリッドからロケットスタートを決めたママチャリであった。 |
|
 |
そんな訳で、東京某所をスタートしたのでありますが、一体どちらに向かいましょう? 東京を起点とする道は数あれど、どれも生活基幹道路。人工建造物が延々と続く道が多いのはみなさんご承知のこと。
「耐久」がテーマと言えど、せっかくですのでツーリングを楽しみたい。ならば、ロケーションが比較的早く山々へと入って行く、甲州街道こと国道20号を選ぶことといたしましょう。カブを駆り、ひたすら西に向かい走るのであります。
山が近いとは言ったものの、やはり天下の甲州街道。23区内は、いや23区の外に飛び出して都下に入っても交通量は大変多いのです。折しも時間は朝の通勤ラッシュとバッティング。クルマの列は遅々として進まず、走行開始後1時間を経過して、なお調布辺りまでしか辿り着かないのでありました。これでは先が思いやられます。
とは言え、三多摩地区に差しかかるころには、流れも序々に勢いを増して参りました。天気は快晴、カブは快調。コレは気分の良いものですね。そうこうするうちに、道はもうすぐ八王子に差しかかります。
そうそう、この近くには多摩テックがあるではないですか。遊園地としてだけでなく、バイク関連のイベントも多く開催される多摩テック。しかも、ここは八耐が開催される鈴鹿サーキットと経営母体を同じくする施設であります。これは表敬訪問しない訳にはいきますまい。
多摩テックのマドンナ、宇宙恐竜チララちゃんの熱烈な歓迎を受け、感動の至りでございますが、今日は先を急がねばならぬ身。後ろ髪引かれる思いを振り切り、更に西へとマシンを走らせます。
八王子を過ぎれば、いよいよ山岳ステージに突入。勾配がキツくなるに従い、苦しげな声を上げるカブ。しかし、ジリジリと高度を上げて行く姿は、じつにけなげで感動的ですらあります。また、登ったならば下りがあるのが世の道理。重力に引かれながら「カメッ!」とか叫びつつ大垂水峠のコーナーをクリアしていく、アナクロな三十代後半の私なのです。おっと気がつけば早3時間経過。相模湖まで来てしまいました。
そろそろ空腹を覚える時間帯を迎えましたので、コンビニで昼食を買い込み、河原にでもおりてみましょう。カブはナニゲにオフロードの走破性が高いことをご存知でしょうか? ひとしきり未舗装路を楽しんだら、清流を眺めながらアウトドアランチとシャレこんでみます。桂川は鮎釣りの名所。本日も多くの太公望が繰り出しておられます。こんな風に気軽に寄り道ができるのも、身軽な原付ならではと申せましょう。
健康のためにも食後は軽い運動がお薦めです。20号からちょっと外れれば、ソコはワインディング天国。攻めの走りをしばし堪能。まあ、「カブなり」ですが、コレが楽しい。
そうこうするうちに、いつのまにか山梨県にアシを踏み入れておりました。いや私、このトシになるまで存じ上げなかったのですが、甲州街道のこの大月近辺は旧い街並が多く残っているのですね。じつに風情豊かな道です。いつもなら高速道路で一瞬にして通過してしまうエリアですから、下道を原付で走って初めて知った感動であります。カンドー!
しかしながら、先ほどから腰が悲鳴をあげております。時間もそろそろ6時間が経過。正直、身体がキツいです。フィニッシュに向け休憩を入れるべきでしょう。おお、ちょうど道の駅があるではないですか。
|
さて、いよいよツーリングも大詰めです。スタートして以来ずーっと、いや寄り道しつつ国道20号を走って参りました。このまま20号のどこかで時間切れになるのも一興ではありますが、やはりゴールに相応しい場所で終焉を迎えたいものです。そこで、勝沼に入ったところで甲州街道に別れを告げ北に向かいます。
勝沼もこれまた街並が旧く、ノスタルジックな旧市街の風景に、カブはじつにマッチングで思わずマイッチング。優れたデザインは時代を超えて美しいのですね。
と、目についたのは明治から残る建築ではなく「ぶどう狩り」の看板。近年、性欲も減退気味で色気より食い気な私でございますから、立ち寄るのは必然。もっとも、ここまで来て、この時期ぶどうを賞味しないことこそ間違いと言えるでしょう。
ぶどうを腹一杯に詰め込んだら、ゴールに向かってひた走ります。向かうは笛吹川フルーツ公園。甲府盆地を見下ろす高台にあるこの地は、絶景と呼ぶに相応しい景色が見られます。まさにフィナーレ向き。
刻一刻とせまるタイムリミット、そしてその時が訪れた……。
カブと私は8時間を完走いたしました。歓喜の声をあげるチームの仲間達!? はいませんし、押し寄せる感動の波……もぶっちゃけありません。八耐リスペクトが世間に届いたかはわかりませんが、じつに楽しいツーリングであったことは事実であります。また、原付だから見えた風景も確実にございます。セカンドバイクや日ごろのアシに原付をお持ちの方は多いと思われます。ご家庭でも、是非一度お試しくださいませ。 |
|
|