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ご来光を拝みに犬吠埼へ
深夜の都内を出発! |
彼女とつき合い始めて、もうそろそろ1年……。どうも最近なれ合いになってきて、つき合い始めたときのドキドキが少なくなってきてるんだよね。仕事が忙しくて、会う時間が作れなくなっていたのも原因かもしれない。そんな彼女との距離を埋めようと思って、今回は初日の出を見に行くことにしたんだ。
いつもならクルマで行くところを、あえてバイクで行くことにした。クルマのほうが暖かいし快適なのはわかっているけど、ドキドキはバイクのほうが上でしょ! もっとも初日の出を見ると言うことで、夜も明けきらないうちに都内を出なきゃならない。それを説得するのがいちばん大変だったんだよね……。
そんなツーリングの強い相棒となってくれたのが、ホンダ・フュージョンだ。スクーターならではのシームレスな加速は、タンデムシートに長時間乗っていても疲れないからさ。それに荷物もリヤのボックスに、気軽にポンっと入れることができる。何かと荷物が多い女の子にはありがたいよね。
そんなこんなで、夜中に彼女を迎えに行った。でも、バイクってことは内緒にしていたんだ。最初はクルマじゃないことにがっかりしていたみたいだけど、走り出して数分もしたら後ろから鼻歌が聞こえてきた。
風を切りながら走るバイクは満点の星も楽しめる、クルマのオープンカーとも違う開放感はまた格別なのだ。防寒もしてきたから、寒くはないようだし。なにより、タンデムシートの居住性がいいフュージョンだったのも大正解。フカフカながら、しっかりホールドしてくれるシートの形状で安心なんだよね。
2人乗りを禁止されている首都高速環状線部分は下道で走り、許可されているところからようやく高速に乗ることができた。2人乗りができるようになってだいぶ楽になったけど、この首都高の一部分だけ走れないのはすっごく不便だ……。危ないからということらしいけど、後ろに大切な人を乗せて無茶な運転をするはずがない!
時間に余裕を見てきたので、十分に休憩を挟みながら走って、犬吠埼に到着したのは6時半ごろだった。
日の出までは15分ほど。雲も思ったよりも少ないから、期待できそうだ!
午前6時46分。海から太陽が顔を出してきた。
『これからも彼女といっしょに居られますように』
願いは届いたかな? |
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人のいない九十九里浜は
のんびりできて◎ |
ご来光も無事拝むことができ、つぎは犬吠埼灯台へ行ってみることに。その途中に彼女が「ねえ、さっき銚子の駅の付近を抜けてきたときにお醤油の匂いしなかった?」と聞いてきた。どうやら彼女はこの銚子が、「ヤマサ醤油」と「ヒゲタ醤油」が拮抗する、醤油の街だということを知らなかったみたいだ。銚子駅の東にヤマサ醤油、西にヒゲタ醤油の工場がある。だから、銚子駅周辺に来ると、どこからともなく醤油の匂いがただよってくるんだ。こんな体験ができるのもバイクならではだよね!
そんな会話をしつつ、あっという間に犬吠埼灯台に到着。実際に近くで見てみると、かなり大きい。しかも百年以上も経っているのに、いまだ現役で活躍している。この灯台内部を登っていく階段の数は99段。九十九里浜にちなんでの段数なんだ。
ツーリングのルートとしては行ったり来たりになっちゃうけど、ひとまず天気もいいし九十九里浜に向かうことにした。地図を見ると九十九里ビーチラインとあるから実際に走ってみると、防風林で景色は見えない……。海岸線近くを走るからビーチラインと付けたんだろうけど、これにはがっくり。九十九里道路まできてようやく海を見ながら走ることができた。砂浜近くまで行けるところを見つけて、行ってみることにした。冬の海は人も少なくちょっと寂しい。でも、ボクたち以外に人は見あたらないからプライベートビーチみたい! 波打ち際で無邪気にはしゃぐ彼女を見て、仕事が忙しいのを理由にちゃんと向き合ってなかった自分が悪かったんだよな、なんてあらためて反省をした。
「ねえ、お腹空かない?」
朝早くから(というより夜かな?)動いていたのに、ちゃんとした食事はまだ食べてなかったんだよね。ここまで来て海の幸を外すわけにはいかないでしょ! 再び犬吠埼方面に向かいながらお店を探すことにした。
見つけたところは『季節料理 勘平衛』というお店。銚子港から直接仕入れているので、新鮮でおいしい地元の海産物をお手ごろ価格で食べることができる。彼女もおいしい料理にご満悦。
そう、そもそもなんでまた犬吠埼に戻ってきたのかって? それはきれいな夕景、夜景が見られるスポットがこの近くにあるから。
でも、それまで時間もあるので、初詣へ向かうことにした。場所は犬吠埼の高台にある満願寺。鮮やかでちょっと変わった形の寺院が目印だ。バイクを停めて、境内に向かう。普通の見慣れたお寺とは、ちょっと趣が違う。金色と朱色に塗られていることもそうだけど、形が安土桃山城の天守閣に似ているからなんだよね。その変わったお寺で彼女がどんなことをお願いしたのか、気になるところだけど……どうだったんだろう?
このお寺から数分のところには360度、水平線、地平線を見渡すことができる展望台がある。銚子市内でもっとも高い愛宕山に建ち、360度の内、330度が海で、屏風ケ浦の断崖も一望できる! 展望台に登ってみると、今まで見たことのない風景が広がっていた。この展望台からは夕日も絶景という。でも、できることなら海岸のすぐ近くから夕日を眺めたい!
傾き掛けた太陽を追いかけるように、海岸近くの銚子マリーナへと急いだ。着いたころには、まさに太陽が沈もうとしているところだった。 |
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幸運になる伝説の緑光
「グリーンフラッシュ」 |
午後4時34分。目の前でちょうど太陽が沈んでいった。地球の丸く見える丘展望台でも見ることはできたんだけど、海と同じ目線で見たかったんだよね。日の出と日の入りを見るなんてことは、そうそうあるもんじゃない。天気もよかったし、ほんとラッキーだったと思う。
しかも! グリーンフラッシュを見ることができたんだ。なんか説明くさくなっちゃうけど、太陽がほぼ沈み、太陽のフチが水平線に少しだけ出ているとき、赤やだいだい、黄の光は、目には届かず、緑、青、むらさきだけ目に入って来るんだ。しかし、青やむらさきは途中で散乱してしまい、結局緑だけが強く見えるようになる。
この現象は瞬きするほどのごく短い時間しか続かないんだ。さらに、雲ひとつない透明な空と長い水平線が必要とされるため、ごくわずかな人だけがこの光りを見る幸運にめぐまれるとされ、「伝説の緑光」と言われている。こんな光景を見ることができるなんて! 彼女も興奮して、しきりにさっきの光のことを話している。太陽が緑色に輝くなんて、この目で見なければ、正直信じられない出来事だもん。
夕日のあとは夜景のきれいなスポットへ。そこは刑部岬の高台にある展望台。港と街並みの灯りの向こうには海が続いている。風が強いのは、海に近いからか。バイク用の服装だから寒くはない。無料で見ることができる望遠鏡を見て彼女がはしゃいでいる。「ね〜、あそこ。さっき走ってきたときに見たお店じゃない?」
こんな日がいつまでも続くことを、心のなかで強く願った。
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