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| モンキーとゴリラでチキチキツーリング! |
きっかけはラッシュであふれる都内の裏道だった。
「あ〜、もうなんでいつもこんなに混んでいるんだよ! こんな渋滞とは無縁なところに行きたい……」
さっそく地図を広げてみたところ、秋川渓谷なる文字を発見した。なんで今まで気がつかなかったんだろう? 奥多摩ばかりに目がいっていたというのもある。距離的にもかなり近い。これなら都内から高速を使って、1時間も走れば行ける距離。
でも、ふと思った。こんなに簡単に行けるんだから、むしろ小さいバイクのほうが、面白いんじゃないかと。モンキーとゴリラで行くのも楽しそうだよね! 後で考えれば、コレがすべての始まりだったんだ……。
さてさて、どうせ行くんだったらひとりよりもふたりのほうが盛り上がるでしょ! でも、小さいバイクでいっしょに行くモノ好きな人なんて……。そこで浮かんだのが、最近小さいバイクに興味を持っていると話していたちはるちゃんだ。なんでもニンジャを普段の足にしているので、小さいバイクを物色しているのだとか。
「秋川渓谷っていう、八王子からも近いところにきれいなところがあるみたいなんだけど、ちっこいバイクでトコトコ行かない?」と、ちはるちゃんを誘うとふたつ返事でOK。
ツーリング当日、都心を出たのは朝の7時だった。都心とは反対方向に進むからそれほどに混んでいない。かなり順調だ。ただ、ひとつ問題があるとすればモンキーとゴリラは恐ろしいほど遅いということ……。原付は30km/h制限だから仕方ないんだけどね。
のんびり走るモンキーとゴリラの脇を、えらい勢いで車が走って抜いていく。普段は車の流れに乗って走っているけど、改めて混合交通の恐ろしさを身をもって体験したのでした。
な〜んて、悪いことばかりでなく、スピードが遅いぶん、周りもいろいろと見ることができるんだよね。これはこれで、おいしそうなパン屋を発見したりと得した気分にもなった。
さらに燃費のすこぶるいいモンキーとゴリラだけに、ガソリン代もほとんどかからない。
八王子を過ぎ、秋川渓谷まであともう少しだ! 地図ではもうすぐそこに川があるみたい。河原を走れるかも。チキチキツーリングはまだ始まったばかりだ。 |
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小さいバイクで冒険気分
寄り道探しもいいもんだ |
その地図に載っていたのは、ボクらが目指す渓谷を刻んできた秋川だと分かった。河原近くまで行ってみると、水が驚くほど澄んでいる。都内では急かされるように走っていたモンキーとゴリラも車の少ないここまで来れば、まったく気にならない。むしろ小回りはきくし、ちょっとした土手のデコボコも冒険気分で楽しめる。大きいバイクならこうはいかない。排気音が小さいからか、釣りをしている人の近くに行っても、気づかれなかったのにはちょっとビックリ。そんな釣り人を見て、ちはるちゃんがぽつりと言った。
「面白そうだね〜。ちょっとやってみたいな〜」
この言葉にボクはハッとさせられた。いつもツーリングに行くと言えば、目的地のワインディングめざしてまっしぐら。寄り道をあまりしたことがなかったんだ!
よく見ると、秋川の周辺には管理釣り場が数多く点在する。看板を見れば手ぶらで行ってもすべて貸してくれるところが目立つ。
「よ〜し、お昼は釣りをしてバーベキューだ!」
ちはるちゃんも喜んでいるみたい。そりゃそうだよね。手ぶらでモンキーとゴリラで走ってきて、釣りとバーベキューができるなんて、ちょっと予想外だしうれしいもんね。
まだお腹も空いてないし、秋川渓谷の奥の方にある鍾乳洞を目指してみた。秋川渓谷に行くということ以外目的を決めていない今回のツーリングで、唯一、行きたいと思っていたところ。大岳鍾乳洞だ。なんでもこのエリアで最大の鍾乳洞というからには、行ってみない手はない。
舗装林道を進みほぼドンツキというところについた。まわりは民家などもなく、ひっそりとしている。大岳鍾乳洞と入場券を買うようなことが書かれた建物があるけれども、人の気配はないような? はて、やってないのかな? バイクを置いて、建物に近づくとおばあちゃんがひとりいた。
話を聞くと、この鍾乳洞を発見した方の奥さんだという。現在は発見した旦那さんは亡くなってしまい、ひとりでこの鍾乳洞の管理をしているのだ。
「いらっしゃい。今、なかの電気を付けるからね」
受付の横には、鍾乳洞に入るときに使うためなのかヘルメットと、ろうそくが並んでいる。
「きっと昔はなかが整備されてなくて、ヘルメットとろうそくで入ったんだろうな」そう推測したのだが、 入口まで来て、そのヘルメットが必要な理由がわかった。とにかく狭くて、低く内部の傾斜が急なのだ!
これから行く人はぜひとも受付でヘルメットを借りることをお忘れなく……。鍾乳洞のなかは、最近の観光化されたものとは違い、かなり険しい。さらに、電気も届いてないところがあったりと、ちょっと怖い。ここでも冒険気分をそうとう満喫できる。この地域最大というのはダテじゃなかったんだ。 |
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| 満点の星が光るハプニングもまた楽しい |
鍾乳洞から戻ってくると、さっきのおばあちゃんが迎えてくれた。この鍾乳洞の歴史から、戦争の話しまで。とうてい考えられなかったのが、戦争当時この地域まで爆撃機が飛んできていたこと。今ののどかな風景からは想像もつかない。
ツーリングの醍醐味はこんな旅先の人との交流もあるんだよね。
冒険気分でお腹も空いて、先ほどの管理釣り場へやってきた。そこで十分釣りも楽しんでバーベキューも楽しんで、さーてこれから帰ろうか、そう思ったときに……。管理釣り場のおじさんが、
「ここらはまわりに余計な光を発する建物も少ないから星がキレイなんだよ」
この言葉をちはるちゃんは聞き逃さなかった。
「そうだろうね〜。星キレイだろうね。でもさ、星を見て帰ったら何時に都心に戻れるか分からないよ???」
きっと昔のボクなら速攻で、「行こう!」と行っていたはず。あ〜あ、明日のことを考えるようになったというのは、年をとったことなのか……。えーいこのさいせっかく来たんだし、行っちゃえ!
そのおじさんの教えてくれた道をひたすらに進んでいく。あたりの景色は寂しくなり、どんどん山深くなっていく。家もなくなった。ここまで来て道に間違えたことに気がついた。あちゃ〜。しまった。もと来た道をもう一度戻ろうか、そう思ったときちはるちゃんがいった。
「星がすっごくきれい!」
またもや道ばかりを見ていて、見るべきものを見てなかったんだ。今回のツーリングは改めて考えさせられることをいっぱい発見した。
でも、本当は……。このあとボクたちのモンキーとゴリラのチキチキツーリングは夜中過ぎまで続いた。小さいバイクは楽しいけど、もう少し計画的に行ったほうがよかったんじゃないかと……。
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