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旅の感動がまったく違う
体全体で感じる充実感 |
「来て本当によかった!」
中禅寺湖の湖面と空をオレンジ色に染めて沈んでいく夕日を見ながらそう思ったんだ。昼間は温かかったのに、標高が高いこともあるんだけど、太陽が傾いていくと一気に気温が下がっていく。きっとクルマでここまで来ていたら、車内から夕日を見るだけで、夕日の温度を感じることはなかったんだろうな。
そもそも私の普段の足といえば電車だったりバスだったり。「オートバイで日光の方に行ってみようよ!」と言われたときには、正直、微妙と思った。第一、ヘルメットかぶると髪はぺちゃんこになるし、ホコリや排気ガスは厳しそうだし……。行こうか行くまいか悩んだんだよね。
そうしてあまり気が向かないまま迎えた、始めてのタンデムツーリング。私が今回後ろに乗るオートバイはハーレーのロードグライドというモノ。私の印象からすると、ハーレーという名前から想像するものからはだいぶ違う形だった。今までこんな形のハーレーって見たことなかったし。私が持ってきた荷物はサイドケースに入れてしまったので、スマートにツーリングができる。これはうれしいなと思った。だって、いちいち荷物を持って観光するのとか、やじゃん。
最初は気が進まなかったツーリングも、何となくワクワクしてきた。タンデムシートに乗って高速を走り始めると、音楽が聞こえる? 私がツーリングに行くのを渋っていたのを、少しでも楽しませようと私の好きな音楽を用意してくれてたみたい。
ここまでして私をツーリングに連れてきたい理由が、夕方の中禅寺湖畔に来るころにはわかった気がする。
クルマの閉ざされた空間では感じることのできない、後に流れていく風景がとにかく楽しいってこと! 絶叫系マシンが好きな私としては、曲がりくねった山道も、アトラクションを楽しんでいるようで退屈することなんてまったくなかった。
でもね、そんなことよりうれしいのは、クルマと違ってずっとギュッとくっついていられること。広い背中の体温を感じながらだと、それだけでうれしい。たしかにクルマと違って会話はしにくいけど、いっしょにこの場所まで走ってきたんだ、ていう充実感がたまらないんだ。 |
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| ワインディングはジェットコースター! |
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この奥日光まできたのは紅葉を見ようと思ったから。でも、ちょっとその時期は早かったみたいで、赤や黄色のパッチワークで彩られた山々を見ることはできなかった……。それでも、高速を降りて山に入り込んでいくほどに空気の密度、透明度が増してくるのを、体全体で感じることができる。
オートバイで走っているときは会話がしにくいこともあって、肩をポンポンとたたくと“ちょっと止まって”ていう合図を決めておいた。せっかくの景色を楽しみたいしさ。
東北自動車道の西那須野塩原ICを降りて日塩もみじラインへ向かう途中、肩をたたこうと思ったその瞬間、ハザードをたいて路肩に止まってくれた。
「なんで私が止まってほしいってわかったの?」
「景色がよかったから、じっくり見たかったんだよね」
だれもがこのポイントで風景を見るところなのかもしれない。同じものを見て同じように感じる。こんな何気ないことでもうれしい。クルマと違って会話が少なくなるぶん、お互いのことをもっと考えるようになるのかもしれないな。
オートバイを駐車場に移動して、竜化の滝を見に。滝までは15分ほど歩いたけど、行ってみる価値は十分にある! 紅葉していたらきっとすごくキレイなんだろうな。でも、夏に来ても深緑で気持ちよさそう。
日塩もみじラインに入り、道が右に左にと曲がりこむ。後ろに乗っていると、ジェットコースターみたい! 気持ちのいいワインディングを抜けて、日光市内に着いたときはすでに日も暮れかけていた。
日光市内に入ってから、日光東照宮に向かうまでの街道脇には大きな杉が立ち並ぶ。300年あまりの年月を見てきた杉並木。下から見上げてみると、本当に大きくて!
ふと視線を落とすと、太陽は先ほどよりもさらに傾き、長い影を地面に映している。ああ、もうすぐ冬になっちゃうんだよなあ……。寒いのは苦手だし。そういえば、心なしかちょっと寒くなってきた。中禅寺湖まではまだ距離があるけれど、そこに沈む夕日を見せたいって言っていたけど、間に合うのかな?
夕日を浴びてキラキラ光っているロードグライドに乗って中禅寺湖へ急いだ。急なカーブが続くいろは坂を軽やかに走り抜け、ギリギリセーフ! 何とか夕日に間に合った!
湖面と空が染まり、それ以外はシルエットになっていく。海に沈んでいく夕日とはまた違った表情だ。こんなに沈んでいく太陽をまじまじと見たのは、始めてのことだったのかもしれない。 |
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| 焼き肉のリベンジでもっと遠くに行きたいな |
中禅寺湖よりもさらに奥に位置する湯元温泉。気温もかなり低い。都内ではシャツの上に軽くなにか羽織る物があれば十分過ごせるような陽気だったのがうそみたい。湯元に入ったら温泉の匂いがする。宿について、冷えた体を温泉で暖めて食事をしたら、すぐに夢のなかに落ちちゃった……。
翌日、起きて天気予報を見てみると、午後からは雨。せっかくのツーリングなのに! そうそうに支度をして、宿を後にした。
昨日は走ることができなかった霧降高原道路を目指す。出かけるときは眠かったけど、後ろに乗ると楽しいから眠気も吹っ飛んじゃった!
光徳牧場で「寒い〜」ていいつつもアイスを食べて、さらに大笹牧場では牛乳をいただいちゃいました。さらには大笹牧場で焼き肉を!と期待していたんだけど、いまいちで……。まあ十分楽しかったし、それもいい
思い出になるのかな?
天気予報の言っていたとおり、なんだか雲行きがあやしい。雨が降り出す前に帰ろうということで、都内へと帰路を急いだ。
こんなに長くオートバイの後ろに乗ったのは初めてだったけど、すっごく楽しかった。また行きたいな。できたら焼き肉のリベンジをしたい! 米沢とかどう? 神戸もいいかも! お願い連れてって〜。
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