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| この日の朝イチは
勝浦の朝市から…… |
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わが家での私の定位置は、ストーブのまん前。毎日の日課は愛猫との場所取り合戦。猫にも負けないほど寒がりな私だけど、バイクに乗るのは年中無休。しかし、この冬はほんとに寒かった……。「早く春にならないかな〜」と何百回思ったことか。
そんな私に朗報!「館山で菜の花が咲いた」というニュースが流れたから、さー大変。ストーブから離れ、意気込んで家を飛び出した。南房総で待ちに待った春を満喫だ〜!
とはいえ、早朝はまだ肌寒い。カイロをポケットに忍ばせ房総半島を横断する。千葉の山道はなだらかで、カーブも緩やなところが多いので、初めてのツーリングにもオススメ。今日の相棒のセローは、オフ車だけどオンロードでもガンガン走ってくれるし、カーブもひらひらと曲がれてしまう。普段は急カーブが苦手な私も、この相棒のおかげで次のカーブが待ち遠しくて仕方がなかった。
国道297号線の「ななまがり」と呼ばれる名物コーナーを下ると、向こうに海が一面に広がっている。冷えた体が一気に高揚しだした。「何かがあるはず」。アンテナがピピッと反応。キョロキョロしながら走っていると、「朝市←」という小さな看板を発見。「ここは勝浦だから……、有名な朝市だ」。迷わず看板がさす道に飛び込んだ。
クルマが行きかう国道から一本入るとガラッと雰囲気が変わった。道の両脇には所狭しと露店が並び、白いビニール袋を提げた人々が一軒一軒ゆっくりと品定めをする。
バイクを止めて、朝市に立ち寄ることにした。地元勝浦漁港であがった新鮮な魚介に地場野菜、手作りのお団子やおもちなどが並んでいて、どれを見てもおいしそう。あたりを見まわすと、赤いのれんに「あま酒」と書いてある。「これだー!」。「おねえちゃん、バイクで来たの? 寒かったでしょ。早く飲みな。温まるよ」。麹とほんのり甘い香りに誘われ、あま酒をすすった。「温まりますね」。「そうでしょ」。おかあさんは満面の笑みだ。「バイクは?」、「向こうにとめてあります」、「どんなので来たの?」。
そこで、おかあさんに相棒を見せることに……。ひと目みると「うわ〜かっこいいね」とバイクのまわりをひとまわり。すると、向かいでお魚を売っていたおかあさんが、「おねえちゃん、コレに乗ってきたの? スゴイねー」と近寄ってきた。「今のバイクはこんなにスリムなんだね。昔のはさ、ゴッツかったんだよ」。
話し込んでいたら、今度はおじいちゃんが歩いてきた。「ほれ、朝市のことが書いてある古文書だよ」と、コピーを見せてくれた。なんでも、近くのお寺で古文書が発見され、1591年に領主が魚介類や農作物の交換場として朝市が始まったことや当時のようすが書かれていたという。
初めて訪れた人でも、昔からの知り合いのように温かい笑顔で接してくれる。みんな大きな口をあけて笑い、とっても明るい人たちばかり。見ている私たちにも元気をくれる。
「あまりの居心地のよさにすっかり長居してしまった。「またおいでね。気をつけて走るんだよ」と、見送られ朝市を後にした。 |
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| さすが房総。鯨づくしでおなかも大満足 |
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勝浦の朝市から、再び国道128号線に戻り、海を横目に走りだす。朝は曇りがちな天気だったものの太陽も徐々に微笑みはじめた。暖かな日差しと海風を心地よく受け止めながら、安房小湊〜鴨川と房総半島をさらに南下。鴨川漁港を過ぎたところで、国道から離れて海へ向けて路地に入ると、磯の香りがしてきた。さらに細い道に入ると見えてきたのが「仁右衛門島」。小さな島のまわりに大小さまざまな岩が顔を出している。泳いで渡れそうな距離を、赤い手漕ぎ船で渡ることができる。
仁右衛門島を後に走り出すと、「きゅるきゅる〜」、お腹の虫が騒ぎ始めた。時計を見たらすっかりいい時間に。「せっかくだから、名物を食べたいな」。食べるところを探しながら走る。一度空腹に気づくと、お腹の虫はさらに暴れだす……。美味しいものを食べている姿を想像しながら和田町まで来てしまった。たいした距離ではないのだが、こういうときはなぜか遠く感じてしまう。
すると、右手のほうから食事どころらしいところが見えてきた。たどり着いたのが「お食事処くじら家」。メニューとお客さんが食べているものを見ながら、あれもこれもと悩み始めるが、どれもおいしそうに見えてしまう。こういうときは、お店の人のおすすめにすれば間違いない! 「鯨づくし定食・ステーキ・竜田揚げあとは、カツかな」という言葉で、竜田揚げ定食に決定。そしたら「この時間なら、ランチがお得ですよ。カツと竜田揚げがセットなのよ」、「じゃ、それをお願いします!」。
香ばしい香りとともに「鯨の揚げ盛りランチ」が運ばれてきた。揚げたてのカツがまだジュワジュワと音を立てている。まずは竜田揚げ。口いっぱいに生姜としょうゆの香りが広がった。中はジューシー。鯨はくさくて硬いというイメージだったけど、くさみもなくやわらかい。今回は食べなかったけど、鯨の尾肉は牛肉の霜降りにも匹敵する味なのだそう。ほかにもさまざまな部位が食べられるので試してみてはいかが?
食事を終えて、隣に併設されたお土産屋へ。あぶるとおいしいという冷凍の鯨のタレと、大和煮の缶詰を購入。「帰ったらお酒のおつまみにしよ〜っと」。リュックにお土産をしまいこみ、意気揚々と走り出した。
少し走ったところで、食休みに丸山町「道の駅ローズマリー公園」で休憩。異国情緒あふれる建物と、紫色のかわいらしい花をつけたローズマリーが一面にひろがっている。この丸山町は、風車とローズマリーの里。ローズマリーが多く生息する地中海と丸山町は同じ北緯35度。そんな由縁もあってローズマリー公園が作られたそう。ティールーム「パーマーム・ファーム」でひと休み。甘いマシュマロミルクティと異国の雰囲気をた〜ぷり味わったら、ようやく菜の花が待つフラワーラインへ。
海沿いの国道410号線を千倉漁港を過ぎ白浜をぬけると、いよいよ房総フラワーライン。フラワーラインに入ると、鮮やかなに色づいた菜の花が道路の両脇を埋めている。でも、見ごろはまだこれから。この冬は南房総でも四度の雪が降り、菜の花の成長も遅れているとか。今年は3月いっぱいまで菜の花が見みられそう。そんな菜の花とポカポカ陽気に誘われて、ぐんぐん進んでいく。 |
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| ダートも走って、夕景も見て大満足のツーリング |
ここでまたまた寄り道。せっかくセローできたんだからオフロードも走らねば! ふとのぞいてみると軽く走れそうな未舗装の道をみつけ、さっそく入ってみることに。林道二回目の私でも走りやすい砂利道。舗装道路では味わえない、自然との一体感や、困難な道を乗り越えられた爽快感など一度にいろいろな経験をすることができる。夢中になって遊んでいたら、だいぶ日が傾いてきた。あわてて元の道に戻る。房総ツーリングの締めには、夕日を拝まねば。
太陽の動きを見ながら先を急ぐ。目指すは「洲崎灯台」。辺りはみるみる暗くなってくる。目の前に小さな灯台が目に入った。「間に合った!」。バイクを止め、展望台に着くと四方に広がる赤い空。雲に隠れて夕日は見られなかったけど、これが見られただけでもヨシとしなくっちゃ。
ゆっくりと暮れていく空とともに、日ごろの疲れも流されていくよう。気候も暖かいけど、温かい人情にふれることができる南房総はかなり奥深い。早くツーリングしたくてウズウズしているなら、房総半島にリフレッシュしに行こう!
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